土地活用は事業計画を充分に考え、適正な運用を行っていかなければなりません。ここでは、土地活用でありがちな失敗事例集を紹介します。その原因を把握し、同じような失敗へと至らないよう対策に役立ててください。
自己資金が不充分な場合、その分を借入金に頼る場合がありますが、返済額には注意が必要です。
借入額が大きい場合、わずかな空室であっても返済できないリスクが高まってしまいます。
そのため土地活用で賃貸オーナーを目指す際には、多少の空室が発生しても少ない影響で済むように充分な自己資金を確保しておくことが大切になってきます。
目安として、土地活用で投入される自己資金は投資額の30%ほどだといわれています。
土地活用を考えるのであれば、最低限、その地域のニーズや競合の状況は把握しておきたいところです。
所有している土地でアパートやマンションを経営するにしても、その地域にファミリー層が多いのか、一人暮らしが多いのかによって建物の間取りや賃貸料金の相場などにも違いが見られます。
土地活用を効率的にするためにも、建物を建てる前には必ず周辺のリサーチを行いましょう。
自分で行うのが難しい場合は、不動産会社にまずは相談を。
利回りは、投資した金額に対する収益の割合を指しますが、その全てが手取りになるわけではありません。
土地活用する場合、所有している土地にアパートやマンション、ビルなど建築し、貸し出すというケースが多く見られます。
その賃貸料金は確かにオーナーの収入にはなりますが、そこからランニングコストやローンの返済金・税金、メンテナンスや保険の費用などを支払う必要があります。
土地活用する際は利回りからこうした費用が差し引かれたものが手取りとなることをしっかり把握しておきましょう。
予算を抑えたいからと建築費などの初期費用を安く見積もると、結局あとから高くつくことがあります。
例えば、外壁に用いられる素材や塗装を安物にしたり、エアコンやトイレ・バスなどの設備を低価格なメーカーのものでそろえると、あとからメンテナンス費用やランニングコストがかさむことが少なくありません。
土地活用する際には、目先のことだけでなく、あとあと発生する費用のことまで長期的に考え、予算を組んでいきましょう。
複数の会社へと同時に見積書を依頼し、それを照らし合わせることを「相見積もり」と言います。
個人が施工会社と交渉して建築費を下げてもらうことはなかなか難しいものですが、複数の会社から見積もりを出してもらい、それを比較することで建築費を抑えられる可能性があります。
また、詳しい相場の参考にもなるため、所有している土地に建築物を建てる際にはなるべく相見積もりを行って比較しましょう。
ほかより低価格なところがあれば、なぜ安いのか理由を聞くのもおすすめです。
節税対策に土地活用を行う場合、節税効果を意識しないと意味の薄いものになりがちです。
一口に税金と言ってもさまざまな種類があり、それぞれ節税の方法にも違いがあります。
土地活用を行えば全ての税金が抑えられると安易に考えず、どの税をどれぐらい節税できるのか、また、控除の適用条件に合っているかをきちんと把握することが大切です。
少なくとも、自分が所有している土地に税金がいくらかかっているかは確認しておかなければなりません。
土地は財産ではあるものの、ただ単に所有し続けていても管理費用が発生し、さらには固定資産税など税金の対象にもされてしまいます。
そこで、やはり税金の控除を目的とした節税のために土地活用を行う人も少なくありません。
しかし、節税を重視し過ぎるあまり、利益を得ることをおろそかにしてしまうと、アパートにしてもマンションにしても長期的な運営が難しくなってしまいます。
少なくとも不動産ビジネスを行うのであれば利益のことも考えたマーケティングが必要になります。
土地活用する際に注意したいのが不動産会社選びです。大切な財産の使い道を任せるのですから慎重に選定しましょう。
よくある失敗例として挙げられるのは、営業トークに乗せられてしまうことです。特に「利回りが良い」という甘い言葉や「高い節税効果がある」などの魅力的な文言には気をつけたいところです。
実際に契約してみたら、言われていたような収益につながらないなど、トラブルになることもあります。
データを始めとした具体的な根拠をもとに説明をしてくれる不動産会社がおすすめです。
サブリースとは、アパートやマンションの空室リスクを回避する手段の1つで、管理業者がオーナーから賃貸物件を借り上げ、転貸することを指します。
このサブリースでは、空室が発生しても家賃が下がらないと勘違いされてしまうことがあります。
空室が多くなるとサブリース会社からは賃料の値下げ交渉が行われることが一般的であり、空室リスクは結局回避されません。
土地活用の失敗を防ぐためには、サブリースに頼らずとも賃貸経営していけるような土地選びや物件にすることが大切です。
自己資金の不足により、返済計画の破綻から土地活用に失敗する例があります。
たとえば土地にマンションを建設して運用していく場合、建物を建てるための資金を調達しなければなりません。資金調達の手段には銀行融資等がありますが、中にはさほど多くの頭金を用意しなくても融資してくれる銀行等があります。そのような融資を利用すれば、なるべく自己資金を抑えて土地活用をスタートさせられるでしょう。
しかし、頭金や自己資金が抑えて土地活用するということは、返済する融資の額や支払う金利の額が大きくなるということです。もし、このような状態で空室が増えると、返済不能になる可能性があります。 空室が生じて賃料が減ったとしても、金融機関は返済を待ってくれるわけではありません。自分の預金や給与等から返済を続けるにも、長期化すれば返済困難になる可能性があります。
既存の土地に何らかの手を加えた場合、以後の税金が高くなることがあります。
たとえば空き家を取り壊して駐車場で土地活用する場合、固定資産税は数倍に跳ねあがります。この場合、駐車場からの売上は得られるかもしれませんが、固定資産税の支払いで赤字になりかねません。
固定資産税には、住宅用地の特例があります。土地に建物が建っている場合には、固定資産税を軽減するという特例です。今までこの特例を受けていたことを知らずに建物を取り壊した場合、当然、固定資産税は本来の税額へと戻ります。固定資産税の納付通知を見て、驚くかもしれません。
ほかにも、敷地の筆の状況により、土地を駐車場にして固定資産税が上がるケースもあります。
土地活用で維持費がかかることは理解していると思いますが、一部の維持費の見落としや甘い見通しにより、想定よりも収益が少なくなってしまうケースが見られます。
たとえばマンションを建てて土地活用する場合、日常的なマンションの維持・管理や入居者の募集・契約など、すべての業務をオーナー自身が行うことは難しいでしょう。そのため、不動産管理会社などに物件の管理代行を一任する方も少なくありませんが、この管理代行にかかるコストは決して安くありません。
管理代行のコスト以外にも、設備の老朽化による修繕や交換費用、固定資産税、所得税、住民税など、土地活用法に応じたさまざまな維持費がかかります。土地活用を検討する際には、事前に専門家へ具体的な維持費の内訳・金額を確認しておくことが必要です。
建物のメンテナンス不足により物件価値が低下し、想定していた売却金を得られないことがあります。
土地活用として新たな建物を建てた場合、きちんと建物のメンテナンスを行っていなければ、時間とともに建物の価値は低下していきます。仮に家賃収入は安定的だったとしても、建物の価値が低下していれば、将来的に売却する際、想定していた売却金を得られない可能性があるでしょう。
「資産価値の上がりそうなエリアだから、10年ほど運用したら高値で売却しよう」という計画だったとしても、メンテナンス不足による建物の劣化が見られた場合には、売出価格を下げなければ買主が現れない可能性があります。
土地周辺のニーズを十分に把握せず、自分が希望する建物等で土地活用を始めてしまったがために、想定した収益が上がらないケースもあります。
たとえばマンションで土地活用をする場合、土地周辺には単身者からのニーズしかないのにファミリー層向けのマンションを建てても、なかなか満室にすることができないかもしれません。
あるいは、出張などの宿泊ニーズが低い場所にホテルを建てても、十分な利用者を集められないかもしれません。
土地活用をする場合には、事前に周辺地域のニーズを十分にリサーチする必要があります。
それぞれの土地や周辺環境には特徴がありますが、土地の特徴・条件にマッチしない活用法を選んだ場合、失敗する恐れがあります。
土地活用を成功させるためには、信頼できる不動産会社など、より良いパートナー探しがカギになります。相談できる相手や何かを任せられる相手がいなく、一人で何もかもを行うとするとオーナーの負担が大きくなってしまいます。
不動産業界に精通したプロであれば土地情報にも詳しく、持ち前のノウハウで効率良く土地活用をサポートしてくれるはずです。