大阪での土地活用法として、高齢者施設の建設・運営をご紹介します。
収益を上げながら社会貢献もできるとして、人情味の厚い大阪では人気の土地活用法です。メリット・デメリット、建設事例などもまとめました。
以下の4つに該当する人は、土地活用の選択肢の1つとして高齢者施設の建設を検討してみてはいかがでしょうか。
アパートやマンションと異なり、高齢者施設は駅近や商業エリアに建設する必要はありません。むしろ、穏やかで閑静な環境のほうが向いている施設とも言えます。
そのため、アパートやマンションには向かない条件の良くない土地をお持ちの方でも、有効に土地活用できる選択肢となります。
アパートやマンションで土地活用をする場合、基本的に収益は入居率に比例します。
一方で高齢者施設の場合は一棟貸しとなるため、利用者の人数で収益が左右されることはありません(サ高住の収益は入居率に比例します)。高齢者施設の需要に対して供給が追いついていない側面もあることから、利用者が少ないことで施設が閉鎖されるリスクも高くないでしょう。
高齢者施設の建設は、長期的・安定的に収益を得たい方に向いている土地活用法と言えます。
上述の通り高齢者施設は一棟貸しが基本となるため、オーナーによる管理の手間はほとんどありません。大規模修繕以外、日常的なメンテナンス等は施設を借りている事業者が行うことになるからです。
管理の手間をかけたくない人、管理する時間がない人には、高齢者施設での土地活用も有効な手段の1つとなります。
アパートやマンションでの土地活用でも節税効果が期待できますが、高齢者施設の場合、アパートやマンションよりも土地面積が広くなる傾向があるため、その分だけ節税効果が高くなります。
少しでも節税効果を高めたい人にも、高齢者施設の建設はオススメの土地活用です。
大阪の土地活用・高齢者施設における特徴や現状、見通しなどについて見てみましょう。
大阪府全体で見れば、サ高住などの高齢者施設の建設は進んでいると判断できるものの、地域によって施設の数に偏りがあることが指摘されています。
令和3年1月末現在、能勢町、島本町、藤井寺市、太子町、河南町、千早赤阪村、田尻町の7市町村においては、サ高住が1棟もありません。
大阪府内にあるサ高住全体の入居率は90.7%。そのうち、入居開始から2年未満の住宅を除くと、入居率は93.6%となります(全国平均は92%)。
大阪におけるサ高住のニーズは非常に高いことが分かります。
高齢者人口に対する高齢者向け住宅の割合は、令和12年度までに4%と設定されていますが(全国計画)、この数値計画に対し大阪府では3.83%とやや少ないのが現状です(令和2年度3月末)。
大阪府では数値計画を達成するために、令和12年度までに8,000戸の高齢者向け住宅を建てる目標案を議論しています。
高齢者施設で土地活用する場合、サ高住の建設費用の相場は約1億7千万~2億3千万円で、有料老人ホームの建設費用の相場は約1億8千万円となります。
主な費用の内訳は次の通りです。
サ高住 | 有料老人ホーム | |
---|---|---|
施工費用 | 約1億1千万~1億4千万円 | 約1億円2千万円 |
什器購入費用 | 約5千万~8千万円 | 約5千万円 |
備品購入費用 | 約1千万円 | 約1千万円 |
合計 | 1億7千万~2億3千万円 | 約1億8千万円 |
有料老人ホームに比べ、サ高住のほうが費用は高くなる傾向がありますが、その主な理由はサ高住の登録基準にあります。
サ高住を建設するには、たとえば「各居室の床面積は原則20㎡以上」「各居室に台所・水洗トイレ・浴室・洗面所・収納設備を完備」「バリアフリー構造」など、細かい要件をクリアしなければなりません。もちろん、有料老人ホームにも要件はありますが、サ高住の要件のほうが費用のかさむ内容となっているため、傾向としてはサ高住の建設費用のほうが高くなるようです。
なお、サ高住で土地活用する場合には、各種の補助金制度や優遇税制、低金利ローンなどを活用できます。土地活用にあたっては、これらの制度を上手に活用していくことが大切です。
大阪の土地活用・高齢者施設のメリット・デメリットを見てみましょう。
一定の条件を満たす必要があるものの、サ高住には「建設時の補助金」「所得税・法人税の優遇」「固定資産税の優遇」「不動産所取得税の優遇」などの補助金・優遇制度が用意されています。
また、住宅金融支援機能の融資条件が緩和されるなどの優遇も受けられます。
施設を相続する際、建物部分については時価の70~80%の固定資産税評価額を基準に相続税を算出します。
算出基準が下がる分、相続税の節税効果が期待できます。
少子高齢化が進む日本において、サ高住をはじめとした高齢者施設を建てることは、それ自体が社会貢献となります。
社会貢献をしながらも安定収益を得られる点で、大きなやりがいを感じられる土地活用法と言えるでしょう。
サ高住などの高齢者施設を建設する場合、一般にアパートやマンションよりも広い土地が求められます。仮に20~30戸の施設を建設する場合、200~300坪ほどのまとまった土地が必要となるでしょう。
広い土地をお持ちでなければ、高齢者施設での土地活用は難しいかもしれません。
高齢者施設には、一般のアパートやマンションよりも複雑な要件が設定されています。これらの要件を満たした施設を建設するためには、相応の初期投資が必要になることは否めません。
仮に定員20名のサ高住を建てるならば、トータルで2~3億円の初期投資が必要となるでしょう。
高齢者施設を目的として建てられた建物は、他の用途への転用が難しいとされています。
そのため、もし事業者が撤退して建物だけ残った場合、新たに高齢者施設を引き継いでくれる事業者を探す必要があります。事業者が現れるまでの間、オーナーに家賃収入は入りません。
一般的なアパート・マンションに比べ、高齢者施設には複雑な建築基準が設定されています。
スムーズな運営がスタートできるよう、予定している高齢者施設の建築基準をよく確認しておくことが大切です。
施設で提供するサービスの内容にもよりますが、一般に高齢者向けの施設では人材不足が深刻な問題となっています。
高齢者施設を建てるにあたっては、早めに人材確保のための活動を始めるようにしましょう。
融資を受けて施設を建てる場合には、以後の返済金額から逆算して家賃・利用料等を計算する必要があります。
赤字のリスクも想定される場合には、サービスの質を上げるなどして家賃を高めに設定するなど、何らかの具体的な対策が必要です。
遊休地となっていた土地に共同住宅の建設を考えていたオーナー。ところが建築基準法の要件を満たしていなかったことから、共同住宅の建設は断念しなければならない状況でした。
相談を受けた建設会社は、隣地のオーナーと交渉して等価交換を実現。これにより共同住宅の要件を満たし、サ高住という用途で共同住宅を建設しました。
大阪に土地をお持ちだったものの、遠方に住んでいることもあり有効に活用できていなかったというオーナー。建設会社に相談し、遠方住まいでも手間のかからない土地活用法として、事業者一括借り上げによるサ高住の提案を受けました。
オーナーの対応は、基本的に10年に一度の外壁工事のみ。遠方の土地を有効活用することに成功した事例です。
広い土地の活用法を考えていたオーナー。建設会社との相談の結果、グループホームを建設・運営することとしました。
グループホームを中心に建て、同じ敷地内や近隣にクリニックや薬局も誘致。実質的に医療と介護が一体化したグループホームとなり、「安心感が違う」との評価から常に満室とのことです。
補助金や税制優遇が受けられるサ高住の建設ですが、サ高住としての登録要件を事前に確認しておく必要があります。サ高住は「高齢者住まい法」によって定義される住宅のため、一定の基準を満たしているひつようがあるのです。
などです。他にも耐火・耐震の基準や安否確認サービス・生活相談サービスを含むことなどが定義されています。